とあるアメリカ兵が戦場で見た日常の風景をスケッチに描いていました。詳細は以下から。
日本では現在、絵を描くのが好きな少女の戦時下での日常生活を描いた映画が大ヒットしていますが、当時の敵国に当たるアメリカ合衆国の兵士が遠くヨーロッパ戦線で描いたスケッチが話題になっています。
ビクター・A・ランディーさんはニューヨークに生まれ、子供時代を通して絵を描くことに興味を持ち付けました。ランディーさんはニューヨーク大学で建築を学びましたが、その途中で第二次世界大戦の前線へと赴くことになりました。
ランディーさんは19歳だった1942年、戦後にヨーロッパを再建することを夢見て大学の仲間たちと陸軍特別教育プログラム(ASTP)を受けましたが、配属されたのは第26歩兵師団でした。ランディーさんは後に「私は夢中になったよ…戦争体験は若い人間を魅了するんだ」と語っています。
ランディーさんは戦争中ずっと身の回りにある全てをスケッチし続けました。行進や休んでいる兵士、フランスの村々など、その対象は多岐に渡ります。
そして負傷したランディーさんが治療を受けている時、絵を描けることに目を付けた軍医が新しく開発している治療法をスケッチして記録に残す役に抜擢されました。このことによってランディーさんは極めて危険なヨーロッパ戦線での8ヶ月間を前線から離れて過ごすことになります。
ランディーさんのスケッチブックは20冊以上に渡りましたが、現存しているのは8冊のみ。158枚の鉛筆によるスケッチは2009年に米国議会図書館に寄贈され、こちらから全てのスケッチを見ることができます。
なお、ランディーさんは第二次世界大戦を生き抜いてアメリカ合衆国に戻り、ハーバード大学を卒業した後に建築家として大成。ワシントンD.C.の市裁判所やニューヨーク市のChurch of the Resurrection Harlemなどを手がけています。
World War II Sketches by Victor A. Lundy (Prints and Photographs Reading Room, Library of Congress)
From The Sketchbook of a World War 2 Soldier _ Amusing Planet