バックパッカーたちの間で伝説の漫画の原作者が死去していたことが分かりました。
漫画原作者の狩撫麻礼(かりぶまれい)さんが2018年1月7日に病気のため死去していたことが明らかになりました。70歳でした。小学館が「ビッグコミックBROS.NET」のサイト上にて明らかにしました。小学館によると
狩撫氏はかわぐちかいじ、谷口ジロー、池上遼一、弘兼憲史、かざま鋭二、浦沢直樹、中村真理子、松本大洋ら小学館でおなじみのそうそうたるメンバーとタッグを組み、ビッグ各誌誌上に作品を発表されました。とのこと。これ以外でも大友克洋、江口寿史らを作画に迎えた作品を描いており、たなか亜希夫が作画した「ア・ホーマンス」は松田優作が主演かつ最初で最後の監督作品として映画化しています。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
これらの錚々たる作品群の中でも伝説的に知られているのが「迷走王 ボーダー」。2000年前後にアジア諸国を放浪したバックパッカーの中ではこの作品を読んでいなければモグリとまで言われていました。
ネパールのポカラにあるアニールモモ・レストランとインドのプリーのサンタナ・ロッジには全館が揃えられており、沈没中の日本人バックパッカーらが貪るように読みふけっていたものです。
境界線(ボーダー)を向こう側に越えた主人公らの目から見た日本社会。炙り出される社会の矛盾や軋轢、そして狩撫麻礼の指し示す生き様に感銘を受けて勇気づけられ、作品に描かれたレイ・チャールズ、ボブ・マーレー、そしてブルーハーツという音楽の系譜を辿った旅人も少なくないでしょう。
今やあの時代の残光をアジアに見ることはもはやできないかもしれません。しかし、ある時代には確かに存在したきらめきのようなものの象徴として狩撫麻礼は私たちの心の奥底に鮮烈な印象を残してくれたと言えるのではないでしょうか。
漫画原作者の狩撫麻礼さんが死去 「リバースエッジ 大川端探偵社」「湯けむりスナイパー」 – 産経ニュース